■「韓国に完勝」ブラジルの日本戦での狙い
ブラジルは「日本対策」などは講じてこなかった。
メキシコ、アメリカ、パラグアイにとって日本はワールドカップ本大会でのライバル国だ。だが、ブラジルが目指しているのはワールドカップでの優勝しかない。予選の最終段階から監督に就任したカルロ・アンチェロッティにとって、今はチームの可能性を引き出すべく、さまざまなテストを行うときだった。
ソウルで行われた韓国戦では、ブラジルはほぼベストメンバーを並べて5対0で完勝した。それを受けて、アンチェロッティ監督は日本戦ではメンバーを変えてきた。
攻撃陣に関して言えば、ビニシウス・ジュニオールを中央に置いて、いわゆる「偽の9番」としてプレーさせた。ビニシウスは中盤に下りたり、両サイドに顔を出したりと、変幻自在のプレーを見せて可能性を示した。
もちろん、「日本対策」として日本のWB相手に狙いを定めるようなことはなく、サイド攻撃に関して言えば、通常のサイドハーフ(右にルイス・エンリケ、左にガブリエウ・マルチネッリ)とサイドバック(右にパウロ・エンリケ、左にカルロス・アウグスト)の関係性のまま、プレーした。
つまり、日本のWBは、何もあそこまで引いて守備に回る必要はなかったのだ。