■ハーフタイムに3枚替え「逆転勝利のために」
11人同士で後半が始まることになると、柏はハーフタイムに3枚替え。
「逆転勝利のためにもう少し攻撃的に出たかった」という指揮官は、後半途中で垣田を日本代表FWの細谷真大に交代するという、ふだんのやり方を前倒しで実行。
ディフェンスラインには古賀太陽と原田亘を投入し、カウンターに個で対応することも想定しながらゴールを目指すというバランスに移行した。
指揮官とともに築き上げてきた、リスクを取ることができる強い自信のもと、仕掛け、プレス、セカンドボールの回収、クイックリスタート、カウンターの阻止など、柏の選手たちは高い集中力でやるべきことを繰り返し続ける。
すると54分、ロスト、プレスバック、ワンタッチパス、パスカット、と中盤でボールの落ち着きがなくなるタイミングが発生し、最終的に柏が前を向いて細谷へのパスを通すと、フィリップ・ウレモヴィッチが後ろから倒してファウルに。
CBの間を抜け出してゴールに向かっていたためDOGSO(「Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity」の略語で、「決定的な得点機会の阻止」)の対象としてVARが介入すると、OFRを経てレッドカードの判定となった。
試合前には「絶対に受けるな、という話をしていた」(山本悠樹)という川崎だったが、前半のうちに10人になっていれば、ハーフタイムを意思統一のための時間にできたものの、後半の早い時間に10人に減ってしまったことで「そこから受けてしまってゲームが非常に難しくなった」(試合後、長谷部監督)という状態になった。
攻撃側としては、10人になったチームに守りを固められると、11人を相手にしていたときよりも難しくなるケースは珍しくなく、柏は前半終了間際のあのタイミングで川崎が10人になったほうがイレギュラーかつ厄介な展開になっただろう。
佐々木旭の奮闘をはじめ、川崎がなんとか凌いでいたが、73分に仲間隼人のゴールが生まれて、とうとう1点差となると、そこからは日立台のお祭りの時間に。
77分に細谷が同点となるゴールを決めると、11分と表示されたアディショナルタイムに入ってすぐの90+2分、またしても細谷が決めてついに逆転。
リーグ戦での4-4というド派手な引き分けから、この準決勝でも2戦合計で4-4となるスコアまで来ていた大激戦は、柏の大逆転劇という形でついに決着のときを迎えた。
日立台を大熱狂に包みこんでみせたリカルド・ロドリゲス監督は「歴史に残る、多くの人の記憶にも残る素晴らしい逆転勝利をすることができてとても嬉しい」と喜びを語るとともに、「誰も、何もあきらめることなく、信じてプレーしてくれた」と、自分のチームを誇った。
今年のルヴァン杯決勝は柏レイソルvsサンフレッチェ広島となった。試合は11月1日に国立競技場で行われる。
■試合結果
柏レイソル 4-1 川崎フロンターレ
※トータルスコア5-4で柏が決勝進出
■得点
4分 脇坂泰斗(川崎)
26分 垣田裕暉(柏)
73分 仲間隼斗(柏)
77分 細谷真大(柏)
90+2分 細谷真大(柏)