■スタジアムに入る際の「証明書」

 話はだいぶ飛んでしまいましたが、こうして「プレスで~す」と言って、僕たちは入り口を通過してスタジアムに入り、報道受付に行って取材許可証(つまり、首からぶら下げるADカード)をもらって記者席に向かいます。カメラマンだったらビブスももらうわけです。

 ADカードをもらうときには、Jリーグから送られてきたQRコードを見せて、身分を証明します。しかし、最初にフェンスを通過するときには「プレスで~す」と言うだけで、何の証明書も見せるわけではありません。

 それでは、誰でも「プレスで~す」と言えば入れてしまうことになります。実際、これはかなり昔の話ですが、僕の知人は報道関係でもなんでもないのに、いつもこの手でスタジアムに入っていたというのです(もう時効の話です。良い子は絶対にマネしないでね)。

 これは、どう考えてもおかしいでしょう。本当は、フェンスの中に入るときに証明書が必要なはずです。それが「ADカード」の本来の役割です。

「ADカード」は「アクレディテーション・カード」のこと。その人物が、保安のために入場が制限されている区域に入場できる認定資格を持っていることを証明するための大事なカードです。

 本来は(ワールドカップやオリンピックでは)、たとえ警察官であってもADカードがなければ制限区域には入れません。場内でのビールやヒマワリの種などの売り子も、スタジアムの清掃員も、入場するためにはすべて「ADカード」が必要です。スタジアム周囲のフェンス内は制限区域なのですから、そこを通過するためにはADカードは必要なはずなのです。

 ですから、「プレスで~す」と言って入り口を通過しては本当はいけないのです。

 つまり、ADカードはフェンスの外でもらうべきなのです。

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