■ビジターチームが「守備重視」のプレー

 だが、数年すると「2レグ制」の弊害が議論されるようになる。アウェイで引き分け、ホームで勝てば勝利となる「2レグ制」。ビジターチームが極端な守備重視のプレーを選択するようになったのだ。アウェイでは失点さえしなければOKというサッカーは、しばしばホームチームのファンからのブーイングを浴びた。

 そこで考案されたのが「アウェイゴール・ルール」だった。2試合目の90分間を終わって合計スコアが同点の場合、アウェイでの得点数が多いチームを勝ちにするという方式で、欧州サッカー連盟(UEFA)が1965/66シーズンの「欧州カップウィナーズカップ」で初めて採用した。

 2回戦の「デュクラ・プラハ(チェコスロバキア)×ホンベド・ブダペスト(ハンガリー)」は、プラハで2-3、ブダペストで1-2といずれもアウェイチームが勝ち、2試合合計4-4となったが、アウェイゴール・ルールでホンベドが準々決勝に進んだ。ちなみに、「2試合合計得点」は英語で「アグリゲートaggregate」と言い、アクセントは最初の「ア」に置かれる。「集合」「総計」といった意味である。

(2)へ続く
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