■1戦制なのに「6試合」必要なことも

 それまでは、各ラウンドが「ホームかアウェイ」の1戦制で行われていたFAカップ。引き分けで「リプレー」を必要とするカードが多く、日程的に非常に難しくなっていた。なかには、勝ち上がりチームを決定するまで6試合を必要としたことまであった。そこで1945/46シーズンの大会で実施されたのが「2戦制」だった。

 1945/46シーズンのFAカップでは、予選ラウンドは1戦制だったが、115クラブが出場した「本選」は、1回戦から6回戦まで全部で111カード(222試合)が「2戦制」で行われた(準決勝と決勝は中立地での1戦制だった)。その結果、リプレー、すなわち2戦を終えても決着がつかず、3試合目を必要としたのはわずか3カード、全体の2.7%と、非常に少なく、安定した日程で開催することができたのである。

 ただしFAカップが「2レグ制」で行われたのは、残念ながら1945/46シーズンの1回限りだった。このシーズンにはまだフットボールリーグが再開されておらず、FAカップだけがプロクラブの主要大会だったからだ。翌シーズン、リーグが再開されると、FAカップは再び1戦制となり、リプレーがたくさん生まれて日程を混乱させた。

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