■「ルーツを奪う行為」サポーターの大反発

 だが、こうした動きはスペインだけにとどまらない。イタリアのセリエAでも2026年2月に予定されている「ACミラン×コモ」をオーストラリアのパースで開催する申請が出され、イタリア・サッカー協会(FIGC)はすでに承認する意向を表明している。

 もちろんサポーターからは大きな反発が生まれている。「クラブのルーツを奪う行為だ」と、ビジャレアルのサポーターは絶対反対の意向を表明し、スペインや欧州のサポーターズクラブ連合からは、FIFAに対し、「スポーツの誠実さを損ない、通常のホーム・アンド・アウェイのリズムを崩し、クラブを伝統やコミュニティーから切り離された娯楽商品に成り下がらせる」と手厳しい書簡が送られている。

「もしこれが認められれば、サッカー界は混乱のパンドラの箱を開けることになるだろう。国内サッカーと私たちのクラブが育ったコミュニティーの保護よりも近視眼的な商業的利益を優先させることはできない」と、その書簡には続けられている。

 もちろんクラブも「サポーター対策」を考えている。ビジャレアルによれば、シーズンチケットの保持者で観戦を希望する者には、入場券を用意するだけでなくマイアミまでの航空運賃を補償し、観戦を希望しない者にはシーズンチケット総額の20%を返金するという。

  1. 1
  2. 2
  3. 3