■事故での失点を防ぐための「勇気」

【36分の武藤嘉紀のゴールの場面】
 バックステップを踏みながらシュートを打った武藤のスキルの高さが見られたゴールだった。エリキが右サイドでピン留めされたように常に高い位置を取るので、横浜の左SBの鈴木はポジションを空けて前に行くことをためらってしまう。

【49分の宮代大聖のシュート場面】
 右サイドから井手口陽介がクロスを入れる。これに反応した宮代がペナルティエリア中央からシュートを放つが、ボールはゴール左に外れてしまう。36分のシーンで、エリキにパスを出したのも大迫ならば、井手口にパスを出したのも大迫だった。

 右サイドに引いてボールにかかわって起点になって決定機の伏線を作る。あるいはペナルティエリアに入ってシューターの役割を担う。神戸にとっては、大迫と武藤のカップリングは、優勝するためには絶対に欠かせないピースである。

【68分の植中朝日のシュート場面】
 左サイドの村松晃助は、ポケットに上がってくる植中の動きをみている。植中はエンドライン近くまでボールを運んでシュートをする。しかし、ゴールキーパーがニアサイドを固めてファーサイドは足を広げてカーバーをする。GKはニアをケアしながらファーサイドを止めに行くから、もしシュートを打つならば、ニアサイドのゴール左上の角を狙えば可能性はあったかもしれない。

 あるいは、松村がボールをもったときに、植中をポケットに走らせて囮にして、ペナルティエリアにフリーで入っていた喜田拓也にパスしても面白かったかもしれない。

 いずれにせよ、横浜FMにとっては同点にする大きなチャンスだった。

 この試合は、神戸が横浜FMの左サイドを封じ込めたことが勝因の一つになっている。
 また、神戸のディフェンスラインが少し低かったときがあったので、相手がボールを下げたら勇気を持ってラインを上げてほしい。ゴール近くで選手が守っていると、事故での失点もあり得てしまう。だから、ラインを上げて、GKの守る守備範囲を作ることも今後の接戦を制して優勝するためには、欠かせないピースなのである。

 神戸は、YBCルヴァンカップ準々決勝の横浜FCとの第1戦を2-0で落とし、第2戦を9月7日に控えている。J1リーグ第29節、9月12日には大一番の柏レイソル戦が控えている。過密日程の中で、柏戦に大迫と武藤の両輪が出場できるならば、神戸にとっては大きな力になるだろう。

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