■10番の意味は「左のインサイドフォワード」
すなわち、10番に「司令塔」や「エース」の意味合いはなく、単に「左のインサイドフォワード」ということを示すに過ぎなかった。その10番に特別な意味を持たせたのは、1958年ワールドカップ・スウェーデン大会でデビュー、見事なゴールでブラジルを初優勝に導いたひとりの少年だった。
1940年10月23日、ブラジルのミナスジェライス州トレスコラソンイス生まれ。フルネームをエドソン・アランテス・ド・ナシメントといった。少年の頃から単に「ペレ」と呼ばれていたが、なぜそう呼ばれるようになったのか、本人にもよくわからなかったらしい。ただ、17年後の1958年6月、「ペレ」は世界で最もよく知られる名前となる。
ワールドカップで背番号がつけられるようになったのは1950年のブラジル大会からだった。第二次世界大戦前の3大会、すなわち1930年ウルグアイ、1934年イタリア、1938年フランスの各大会では、背番号なしの選手たちがプレーしていたのだ。しかし1950年大会も、個々の選手に番号が割り振られたわけではなく、先発の11人が1から11の番号がつけられただけだった。この時代、選手交代は認められていなかった。