■出てこない「第2の釜本」
川本「日本サッカー協会も現在、特に力を入れてストライカー育成に取り組んでいますよね。カテゴリーにかかわらず、指導者は皆、点を取る選手を育てたいと思っているはずです。それに加えて私は、ガマさんはヤンマーでチームメイトに恵まれたと思います。当時のヤンマーは、右に今村博治さん、左に堀井美晴、さらにネルソン吉村さん、阿部洋夫さん、ジョージ小林さん…両サイドに良いウィングがいてピンポイントでボールが来るので、ガマさんは“わしゃあ、止めて蹴るだけや”という感じだったんじゃないでしょうか。自らストライカーとしての鍛錬をしていたというベースはあると思いますが、あれだけのメンバーがそろっていたわけですから。私が古河電工でCFとして活躍できていた頃は、右に永井良和、左に奥寺康彦という良いウィングがいました。そういうこともあって、ガマさんは長い時間ボールを触るのではなく、2タッチくらいでドンと決めるシュートが多かったんだろうという気がします。そういういろいろな要因があって、ガマさんというストライカーが誕生したんでしょう。どんな指導者でもガマさんみたいなストライカーをつくりたいと思うでしょうが、何十年とたっても、まだ第2の釜本は出てきません」
大住「第2の釜本と呼ばれた人は多くいましたけどね。川本さんも、そのひとりだと思いますが、誰も本家を超えられない」