■誤算だった2部降格、その「一番の原因」は…

 クラブ側としても2部降格は誤算だったことだろう。だが、その一番の原因は、選手たちの“怠慢”にあったのではなく、フロントが利益優先でシーズン中に主力選手を売却するなどのチームマネジメントにあったとの、一部メディアからの指摘もある。その中で、献身的にチームのために働き続けた中村に対して、1年前からの約束を突然、クラブ側が反故にしてしまったというのだ。

 書面上の契約は2028年の夏までとなっているが、クラブは中村本人だけではなく、エージェントや周辺の人々にも、今年6月末までの売却を約束していたという。

 前出の関係者は「何か月も痛み止めを打ち続けながら、リーグ戦、カップ戦決勝、降格プレーオフまで、チームのために必死になって試合に出続けてきた者に対して、もう少し誠意を見せてほしい」と、眉をくもらせる。

 中村自身も今の精神状態では、チームに参加できないと思っているのだとか。そして、前述したように、無断で試合をボイコットをしているのではなく、チームへ医師の診断書をちゃんと提出しているのだ。この状況を速やかに解決する術は、もはや移籍しかないのかもしれない。
 フランスリーグの今夏の移籍期限は9月1日まで。SNS上では「#FreeKeito運動」が広がっているが、その声はチームに届くのだろうか。中村が笑顔でピッチに立つ日を待ちたい。そして、その先には、すべてのサッカー選手の夢、ワールドカップの大舞台が待っている。

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