■テレビの影響をまともに受けた「3大会」

 問題になったのは、北米大陸で行われた3大会、1970年と1986年のメキシコ大会、そして1994年のアメリカ大会である。1970年大会は、初めてカラーで全世界に衛星生中継された大会だった。すなわち、この3大会はすべて「テレビ時代」の大会であり、その影響をまともに受けた。

 酷暑のメキシコでは、伝統的にサッカーの試合は夜に行うものだったが、1970年大会では原則的に16時(午後4時)(ロンドンでは23時、パリでは24時)のキックオフとされた。大会全32試合のおよそ3分の2、22試合が16時キックオフだった。そして日曜日の12試合は、正午(ロンドン19時、パリ20時)キックオフで行われた。

 欧州ではほとんど経験することのない正午キックオフの試合は欧州のチームを苦しめたが、16時キックオフでも、欧州とはまったくレベルの違う暑さの中、欧州勢は持ち前の運動量を発揮することができなかった。この大会に向けて体力強化に力を入れたブラジルが全勝で優勝できた背景には、欧州勢の暑さとの苦闘があった。

(3)へ続く
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