■持て余し気味の「巨大スタジアム」

 浦項スティールヤードが韓国最古の専用スタジアムだとすれば、大邱で試合を観戦したiMバンク・パーク(フォレストアリーナ)は2019年完成という新しいスタジアムだ。

 大邱には、2002年ワールドカップで3位決定戦(トルコ対韓国)が行われた大邱スタジアム(収容6万6422人)があり、その後、ユニバーシアードや世界陸上なども開催されたが、Kリーグの試合で使用するには大きすぎた。また、都心部からバスで50分近くかかるのでアクセスにも問題があった。

 一方、iMバンク・パークは収容力が約1万2000席とコンパクトだが、なにしろKORAIL(韓国鉄道公社)大邱駅から至近距離という便利な場所にあり、スタジアム南側にはタワーマンションが建ち並んでいる。僕が観戦した金泉尚武戦は激しい雨の中の試合だったが、それでも8562人の観客が入ったのはアクセスが良かったからに違いない。試合後は大邱駅のほか地下鉄が利用できるし、多くのバス路線が通っているので観客はストレスなく帰路に就くことができる。

 韓国ではプロ・リーグが始まった1980年代には旧式の陸上競技場しかなかったが、その後、2002年ワールドカップのために多くの専用スタジアムが建設され、今でも多くがKリーグの本拠地として活用されている。

 一方で大邱の例のようにKリーグの試合では巨大スタジアムを持て余していることも事実。たとえば、大邱の試合で観客数は8000人台だったが、収容力が1万2000人ほどということは満員に近いということになり、盛り上がりを演出することができる。

 日本でも最近は西日本を中心にアクセスの良い専用スタジアムが次々と建設されているが、Kリーグの発展のためには、iMバンク・パークのような施設が増えることが重要なのではないだろうか?

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