■画期的だった「専用スタジアム」の現状

 浦項のスタジアムは「浦項スティールヤード」という。

 浦項の親会社は「POSCO」(旧浦項綜合製鐵)である。朴正熙大統領時代の1970年代に日本の資金と技術供与によって設立された国策会社で、今では世界有数の製鉄会社となっている、日本海(韓国では「東海」)に面した小さな漁港だった浦項に製鉄所が建設され、その後、浦項は大都市に発展した。

 その親会社であるPOSCO本社ビルのすぐ南に1990年に建設されたのが、浦項スティールヤードだ。約2万人を収容するサッカー専用スタジアムで、まだ旧式の陸上競技場を使うことが普通だった当時の韓国では画期的な専用スタジアムだった(僕も、2003年にこのスタジアムを取材に行ったことがある)。

 すでに築35年を経ているが、最近もピッチの改修などが行われたというし、2層式のスタンドはかなりの急傾斜でピッチまでの距離が近く、非常に試合が見やすいスタジアムだ。スタジアムから大通りを挟んだ東側は高炉が建ち並ぶ広大な製鉄所となっているが、スタジアムや本社周辺は緑も多く、環境も良い。

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