
サッカーは日々、進化している。中でも近年、発展を遂げたのがサイドバックだろう。サイドバックを主人公にしたサッカー漫画『アオアシ』(小学館)は最終回を迎えたが、今後、現代サッカーは「サイドバックの時代になる」と言うのは、サッカージャーナリストの大住良之だ。日本代表の北中米ワールドカップにおける「システム」にもかかわるサイドバックの重要性を考える!
■クラブW杯でも「絶好調」
欧州チャンピオンのパリ・サンジェルマン(PSG)がFIFAクラブワールドカップでも順調に戦いを進めている。6月23日にシアトルで行われたグループステージの最終戦、シアトル・サウンダーズ(アメリカ)戦も、危なげなく2-0で勝利してB組1位となり、ラウンド16に進出した。勝利を決定づけるゴールを決めたのが、右サイドバックのアクラフ・ハキミ(モロッコ代表)である(ラウンド16では、リオネル・メッシ擁するインテル・マイアミに4-0完勝。その試合でも、1ゴール決めた)。
後半21分、シアトルが攻め込んでPSGのゴール前まで入ったが、そこで止められ、PSGは一気にカウンターにかかる。自陣中央でボールを受けたデジレ・ドゥエが数歩持って左前方を走るブラッドリー・バルコラにスルーパス、ペナルティーエリアに入ったバルコラは、抜いてシュートの構えを見せながら、過密気味のペナルティーエリア中央部を避け、右にパス。そこに完全にフリーで立っていたのは、もちろんハキミ。正確に止めると、冷静そのもののの右足インサイドキックでゴール右に流し込んだ。