■信じられない「心肺能力」
攻守が切り替わったとき、右サイドバックのハキミは自陣ペナルティーエリアに入ったところ、「(ペナルティ)アーク」との右の交点あたりにいた。「縦-縦」へとパスが通り、バルコラが相手ペナルティーエリア左でボールを持ったとき、ハキミもシアトルのペナルティーエリアに到達し、右手を上げてボールを求めていた。
計測してみると、なんと80メートルを12秒で駆け上がり、そして止まってボールを受け、まるで1分も前からそこに立っていたかのように正確に止めて正確にシュートを決めたのである。そして表情も変えずにバルコラのところに走り寄り、肩で息をするでもなく、そのプレーを祝福したのである。
これが「世界一の右サイドバック」である。Jリーグが規定している「スプリント」の定義は「時速24キロ以上」となっているが、79メートルを12秒で走ると、時速は24.0キロ。ほぼ、その値ということになる。直前のプレーで70メートル以上戻り、このスピードで80メートル走り上がっても息も切らさないというのは、どんな心肺能力なのだろうか。