チーム力に大きな差がある「世界選抜インテル」と浦和、世界と互角に戦うために「Jクラブ」に必要なこと【浦和レッズ「クラブ・ワールドカップ大健闘」で分かった世界までの距離】(2)の画像
最近のJリーグで活躍した世界クラスの選手は、元J1ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタくらいか…。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

 FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強豪相手に大健闘した。だが、その「大健闘」は、何を意味するのか。サッカージャーナリスト後藤健生が検証する。

■選手の「半分以上」が外国人選手

 インテルの選手たちは疲労し、クラブ・ワールドカップに集中できないような環境であり、また新監督がトレーニングを行う時間もほとんどない状態だった。そして、負傷者も多かった。

 インテルが浦和レッズの組織的守備に手を焼き、結局は個人能力の違いで突破を図るような試合になったのは、そうしたチーム状態のためでもあった。

 従って、インテルが浦和相手に苦戦したのは、ある意味で想定できたことであった。

 しかし、それでもインテルの選手たちは個人能力の差で圧倒的に有利な位置にいた。

 これも、考えてみれば当たり前のことだ。

 ヨーロッパのトップクラブの一つであるインテルと、Jリーグのクラブである浦和では、クラブの財政規模、あるいは人件費(選手の報酬の合計)で数十倍の開きがある。

 つまり、インテルは世界中から各国の代表クラスの選手を補強したグローバルなチームなのだ。選手の半数以上が外国人選手というわけだ。

 いや、インテルだけではない。ヨーロッパのビッグクラブはどこも同様の状態。ボスマン評決の後、20世紀の終わりまでに各国で外国人選手の制限が撤廃され、また、有料テレビの放映権という形でヨーロッパのクラブの財政規模が急拡大。さらに、ヨーロッパの中でも中東マネーを取り入れたクラブは一層大きな資金を手にして、サッカー界を牛耳っている。それがマネーに毒されたサッカー界の現状なのだ。

 その結果、中東からの資金を受け入れたメガクラブは、まさに「世界選抜」的なチームを作っている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3