渡邊凌磨のゴールで先制、ボール保持率23%も…世界にポジティブな印象を残した「守備一辺倒ではない」戦い【浦和レッズ「クラブ・ワールドカップ大健闘」で分かった世界までの距離】(1)の画像
前半11分、先制ゴールを決めた渡邊凌磨(写真)。浦和レッズは、欧州CLファイナリスト相手に勝利まで、あと一歩に迫った。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強豪相手に大健闘した。だが、その「大健闘」は、何を意味するのか。サッカージャーナリスト後藤健生が検証する。

■「守り続けた」虎の子の1点

 FIFAクラブ・ワールドカップに出場している浦和レッズは、6月21日(日本時間22日)にインテルナツィオナーレ・ミラノ(インテル=イタリア)に挑戦。

 前半11分に金子拓郎が右サイドをドリブルで突破し、DFを引きつけてからマイナスのクロスを入れ、ファーサイドから走り込んだ渡邊凌磨が決めて見事に先制した。

 その後は、実力的に上回るインテルがボールを握って攻撃を続ける一方的な展開となったが、浦和は素晴らしい守備でこの1点を守り続けた。

 前線の選手たちは行くべきときと自重するときを見極めながら、相手ボールを追い続けた。

 インテルは右のルイス・エンリケ、左のフェデリコ・ディマルコを使って強力なサイド攻撃を仕掛けてきたが、浦和はサイドバックとサイドハーフが連係して守り、最終ラインもうまくスライドして対処。縦に入れてくるボールに対してもCBが体を寄せて対応。インテルがシュートを打つ場面では、体を張って守り続けた。

 こうして、前半はインテルのボール保持率は70%に達し、9本のシュートを撃たれたものの、枠内シュートは許さずに(FIFAのスタッツ)で凌ぐことに成功した。

 後半に入っても浦和の組織的な守備が功を奏して、1点のリードを保ち続けることに成功。

 70分には松尾佑介がドリブルで持ち込み、パスを受けた渡邊がシュートを放つ場面も作った(シュートはクロスバーを越える)。

 こうして、残り時間も15分を切り、「もしかしたら」と思えるような展開になったのだが、インテルは78分に左CKからのボールをラウタロ・マルティネスがゴールを背にして体を倒しながら右足に当ててボールを枠内に飛ばすという超絶のシュート技術を見せて同点に追いつく。そして、アディショナルタイムに入った90+2分には左のヘンリク・ムヒタリアンのクロスからペタル・スシッチがシュート。跳ね返ったボールをバレンティン・カルボーニが冷静に蹴り込んで、勝ち越し点を決める。

 こうして、浦和は最後の最後に勝点を失って2連敗となり、この時点でグループリーグ敗退が決定した。

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