■泳いでいるであろう「マグロ」に…

 しばらくたってから、僕は再びデッキの上に出ました。もちろん、売店でビールのロング缶を2本ばかり買い込んでから、です。

 下北半島の北の端(本州最北端)は大間崎です。

「大間」……。そう、あのマグロで有名な大間です。

 ビールの缶を開けた僕は、まず、海面を見ながら、そこで泳いでいるであろう美味しそうなマグロたちのことを思いながら、ビールに口を付けました。「プッハーッ」という瞬間です。

 フェリーは、下北半島を左手に身ながら南下を続けます。下北半島の西岸は断崖が多く、人口は希薄。時折、人家が集まっている集落が見えています。おそらく漁業を生業にしているのでしょうね……。と、そこでの生活に思いを馳せながら、また、一杯。

 その下北半島の南の端まで来る頃には、フェリーの右手に大きく津軽半島が見えてきます。こちらのほうが、あちこちに町や村が点在していて、多くの人々の営みが感じられます。

 2つの半島の間を通過すれば、もう海峡を離れて陸奥湾です。

 海風に当たりながら冷たいビールを口にして、ぼんやりと景色を眺めているうちに、あっと言う間に時間は経過し、間もなく正面に青森市のビル群が見えてきました。

 遠くからもひときわ目立つ、13階建ての三角形の観光物産館「アスパム」や斜張橋の青森ラブリッジなどが見えてきたら、いよいよ入港です。

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