W杯に「美人デザイナー」数人を同伴

 だが開いてみると、それまでのサッカー雑誌にはない、まったく新しいコンセプトの雑誌だった。何よりも、全ページカラー、それも写真が中心で、その写真が実に見事だった。ただのサッカー写真ではなく、考え抜いてプランされた写真が大きく見開きで使われている。ブラジルのフラメンゴのエースであったジーコを「コルコバード」の丘の頂まで連れていき、ダイナミックなリオの絶景を背景に撮った写真などもあったと思う。東京に帰ると、私は迷わず定期購読の申し込みをした。

「ONZE」はサッカー雑誌界の新参者だったが、たちまちのうちにフランスだけでなく、世界中で人気になった。1978年ワールドカップのときにはブエノスアイレスに10人を超す記者とカメラマンだけでなく、数人のデザイナー(そろって長身の金髪美人だった)まで連れてきて最高級ホテルの1フロアを占有し、魅力あふれる特集号をつくった。

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