■育成にとって｢非常に重要なこと｣
もちろん、そんな強引なプレーだけになってはいけないが、そうした“無理な”プレーを織り交ぜる必要がある。それが事故を引き起こしてペナルティーやオウンゴールが生まれることもあるし、相手守備陣を押し下げたり、ＤＦに恐怖心を与えることもできる。
だが、日本サッカー協会で育成を担当しているコーチ陣はそういう方向の指導はしないようだ。
「育成段階だから」なのだろう。
強引なプレーや相手の良さを消すゲーム戦術を駆使して結果を出すことよりも、選手の個人能力を上げることや日本のサッカーが目指すべきとするパス・サッカーで相手を崩すことに執着しているのだ。
たとえば、ＦＣ町田ゼルビアの黒田剛監督などは、守備を固めて、カウンターやロングスローを含めたセットプレーで点を取って勝利の確率を上げることだけを考えて戦っている。だが、ＪＦＡのコーチング・スタッフは、そうではない。
この部分は、価値観の問題であって、どちらが正しいというものではない。
ただ、今年の２つのアジアカップを見ていると、今のやり方のままでは、いずれアジアカップで敗れてワールドカップ出場権を逃がす日が来るように思えてならない。
ワールドカップに出場して、それぞれの年代での世界との差を認識すること。これは、日本のサッカー界の育成にとって非常に重要なことのはずだ。「育成」という観点から考えても、もう少し「勝ち切る」ための指導をしてもいいのではないだろうか？
