■何度も見てきた「光景」
首位が続いていて、しかも2位との勝点差が開いているという状況。間もなく中断期間に入るというスケジュール。そして、対戦相手の横浜FMが最下位に沈んでいること……。
そんなさまざまなファクターが重なって、小さな緩みが生まれた。それが、鹿島にとっての横浜FM戦だったのではないだろうか?
そうだとすれば、これを教訓にすればいいだけのことだ。本来の鹿島らしい攻守の粘り強さや勝負へのこだわりを取り戻しさえすれば、すぐに本来の形に戻れる。
鹿島にとって幸いだったのは、2位との勝点差があったこと。そして、鹿島の敗戦に付き合うように、上位陣が軒並み引き分けや負けに終わったため、勝点差があまり縮まなかったことだろう。
本来は高いチーム力を持つチームが諸事情で低迷しているようなとき、強豪チームとの対戦が立ち直りのきっかけになること。そして、首位を走っているチームが、最下位相手の試合などでついつい緩みが出てしまうこと……。それは、全世界の長いフットボールの歴史の中で、何度も見てきた光景である。
だから、僕は冒頭に「“フットボールあるある”満載の試合」と表現したのだった。そこから逆襲の火の手が上がるのか、あるいはそれが没落の兆しとなってしまうのか……。それはすべて、それぞれのチームの今後の戦い方によって決まってくるはずである。
横浜FMと鹿島の次戦を見届けよう。