後藤健生の「蹴球放浪記」第266回「ビザ申請は面倒だけれど…」の巻(2)W杯予選で「イラン大使館」の奥の部屋へ、アジア杯予選で「産油国ボス」から受けた親切の画像
2014年ワールドカップのときのブラジル・ビザ。南米の中でいちばん審査が厳しい。提供/後藤健生

 海外でのサッカー取材は、ノートとペンだけあれば、事足りるわけではない。ビザが必要な国もある。蹴球放浪家・後藤健生は、そのビザ取得から「世界のリアル」を学んでいる。

■面倒な手続きで「サッカー談義」

 ビザ手続きは面倒なうえに、相手国係員の横柄な態度に怒りを感じることも多いのですが、中東諸国の大使館や領事館には良い印象を持っています。

 1997年にはフランス・ワールドカップ予選を取材するのでイランやシリアといった、面倒そうな国にも行きました。

 ビザ申請のために大使館員の「面接」というのがありました。

 イラン大使館に行ったら、奥の部屋に案内されました。待っていると大使館員が出てきて、入国目的などの質問をします。しかし、目的はサッカーの試合なのです。大使館員ももちろんサッカー好き。しばらく、サッカー談義に花が咲きました。

 そして、イランの名物のナッツやレーズンなどを出してくれて、「今の時期だと、どこを見たほうがいいだろう」と観光案内みたいな話もしてくれました。

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