森保一監督「世界のトップ・トップのチームから学べるところはあります」

 迎えた後半、長谷部監督はセレッソ戦で決勝弾をアシストした瀬川祐輔を頭から投入。家長昭博山本悠樹といった主要メンバーも途中から送り出し、圧倒的に攻め込んだ。そして後半39分には大関友翔も登場。20歳のテクニシャンが右に出したスルーパスをファンウェルメスケルケン際が折り返し、瀬川が2点目をゲット。これで勝利を引き寄せることができたと思われた。
 しかしながら、後半ロスタイムにまさかの展開が待っていた。瀬川が石原広教を引っかけて与えた浦和の右大外のFKが全ての発端だった。後半途中からピッチに立っていたマテウス・サヴィオが蹴り、まず山田新がクリアするも、左サイドの相手スローインから再びサヴィオにボールが渡り、大きなクロスをゴール前に供給されたのだ。
 これを松尾佑介が受け、左に開いて中央にボールを入れたが、丸山が決死のクリア。ここで流れを切れたらよかったが、またしても石原に拾われてしまう。
 次の瞬間、サヴィオが2度目のクロスを蹴り込むと、中で待ち構えていた長倉幹樹が頭で落とすと、丸山と山本、瀬川の間に大久保智明が走り込み、完全フリーになった。浦和の背番号21は迷うことなく左足を一閃。2-2になったところで無情にもタイムアップの笛が鳴り響いたのである。
 視察した日本代表の森保一監督は、まるで”ドーハの悲劇”を想起させる展開に「サッカーは本当に何が起きるか分からない」と開口一番、コメントした。
 そのうえで、「最後の川崎の失点はクロスからだったが、上げられてスクランブルになってしまう前に止めないといけなかった」と厳しい指摘をしたのだ。
「カタールワールドカップでも、アルゼンチンが絶対にクロスを上げさせないように徹底した試合がありましたけど、やられる可能性を徹底して低くしようとしている。世界のトップ・トップのチームから学べるところはありますね」とも発言。これを1つの教訓にすべきだという考えを示した。

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