■初戦に「グッドニュース」
欧州から日本への移動と、ブラジルへの移動では、フライト時間に差はないものの、時差の面では日本だと7あるいは8時間、ブラジルでは3あるいは4時間で、負担は小さい。それでも欧州の厳しいリーグを終えて南米に戻り、「生きるか死ぬか」のワールドカップ予選に臨むのは、相当タフな仕事だ。
幸いなことに、アンチェロッティが初指揮を執る6月の2試合(5日、対エクアドル=アウェー、10日、対ウルグアイ=ホーム)では、欧州の国内リーグは終了しており、5月31日(土)にミュンヘンで行われるUEFAチャンピオンズリーグ決勝、パリ・サンジェルマン×インテル・ミラノですべての試合が終わる。ここまで試合があるブラジル代表選手は、センターバックのマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)ぐらい。アンチェロッティは、悪くないコンディションの選手を集められるだろう。
さらに、エクアドル戦の試合会場が首都キトではなく、5月になってグアヤキルに変更されたことも、ブラジル代表とアンチェロッティにとってはグッドニュースに違いない。
エクアドルは「高地アドバンテージ」を得るために、1998年ワールドカップ予選からホームゲームを基本的にキトで開催してきた。標高2850メートルの高地である。2022年までの7大会のうち、ブラジルは1998年には「前回優勝」の資格で、そして2014年には「ホスト国」として自動出場権を与えられ、南米予選には出場しなかった。残りの5大会の予選、5試合のブラジルとのホームゲームを、エクアドルはすべてキトで戦い、2勝2分け1敗という成績を残している。その「勝利の会場」を、太平洋に近いグアヤキルに変更したのである。