■「鳥の眼」で巨大地形を観察するには

 こうした、「小さな地名」、「小さな地形」を楽しむのがバスの旅なら、逆に“鳥の眼”を持って巨大地形を観察できるのが、飛行機という乗り物です。

 日本にも世界有数の巨大地形が存在します。

 新潟県から関東地方にかけて南北に走り、本州を東西に二分しているのが「フォッサマグナ」(大地溝帯)ですが、これは飛行機の上から見てもよくわかりません。明治の初めに来日したドイツ人のハインリッヒ・エドムント・ナウマン博士は、八ヶ岳方面から南アルプスの崖を見て、すぐに地溝帯があることに気づいたというのですから、さすがに専門家です。

 一方、関東地方から九州まで日本列島を東西一直線に貫く「中央構造線」は、素人でもすぐにわかります。とくに紀伊半島の紀の川から四国の吉野川にかけて、東西に直線的な谷が連なっているのは地図を見ただけで、誰でも気がつきますし、飛行機の上から見ても一目瞭然です。

「中央構造線」は、吉野川からさらに西に向かって伸び、愛媛県の佐田岬半島も中央構造線に沿った直線的な地形になっています。ここに巨大断層が存在することは一目で分かります。

 九州方面から東京に向かう飛行機が、熊本県と大分県の県境辺りを通って東に向かい、豊後水道の上空に差し掛かると、左手に佐田岬半島が見えてきます。地図のとおり、直線的な半島が数十キロにもわたって伸びているのはまさに奇観です。世界中の空を飛んでいても、なかなかこれだけの景色にはお目にかかれません。

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