後藤健生の「蹴球放浪記」第265回「“鳥の眼”から見る世界の巨大地形」の巻(1)CL決勝とバーレーンVS日本の開催地で見せつけられた「人間の所業」の画像
イスタンブールで観戦したガラタサライ対デニゼリスポールの入場券。提供/後藤健生

 サッカーの名手はプレー中でも、鳥が空から見るようにフィールド全体を俯瞰できるという。蹴球放浪家・後藤健生は、世界各国でのサッカー観戦を通じて「鳥の眼」の重要性を知った!

■「虫の眼」で街を観察する交通機関

「蹴球放浪記」でもご紹介しているように、僕は公共交通機関を使って旅をするのが大好きです。

 特に、路線バス……。

 街の中を走り回るので、さまざまな場所で人々の生活を垣間見ることができます。繁華街のカフェなどで優雅にくつろぐ人々を眺めていたかと思うと、バスは下町に差し掛かり、路地のような細い通りで雑貨屋とか八百屋の店先を覗くこともできます。

 また、バスの停留所に名前がついている場合には、小さな地名を知ることができます。沖縄に行ったときに那覇から糸満方面に向かうバスに乗っていたら、「東風平(こちんだ)」というバス停がありました。

「へえっ、難しい地名だなぁ」と驚きました。「東風(こち)吹かば~」という菅原道真公の歌があります。なるほど、「東風」は「こち」と読めるわけです。

「東風」が「こち」なら、「南風」は「はえ」。沖縄には、ちゃんと「南風原(はえばる)」という所もあります。

 中国でバスに乗っていると、やはり「次の停車は……」と中国語でアナウンスがあり、文字(簡体字ですが)が表示されますから、それを楽しむこともできます。しかも、バスはゆっくり走るので、ゆっくりと楽しむことができます。バスは、いわば“虫の眼”で街を観察するための交通機関です。

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