■上空から目撃した「自然破壊」の現場

 日本からヨーロッパに行く直行便は、シベリアの北極圏に近い辺りを飛行します(ロシアのウクライナ侵略開始以後、シベリア路線が飛べなくなったので、ヨーロッパまでの所要時間が長くなってしまいました)。

 一方、日本からトルコに向かう飛行機はもう少し南の中央アジアを飛行します。そして、カスピ海とアラル海の上空を飛びます。

 カスピ海は日本とほぼ同じ37万平方キロの面積を誇る世界最大の湖……というより、外洋とつながっていないだけで、それはまさに「海」と呼ぶべきものです(海岸に立つと、当然、対岸など見えません。舐めてみると、塩分が薄いのは分かりますが、見た目はまったくの海です)。

 一方、アラル海は今では大部分が干上がってしまっています。

 かつては6万6000平方キロほどの面積があったのですが、20世紀の中頃、ソ連政府がアムダリア河の水を綿花栽培のために使ったため、流入する水量が激減。アラル海は次第に縮小し、今ではほとんど砂漠化。小さな湖がいくつか残っているだけになってしまいました。

 僕が、2005年にアラル海上空を飛んだとき、すでに湖は大半が干上がっている状態でした。人間の活動による自然破壊の現場をまざまざと見せつけられたのです。

(2)へ続く
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