
サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「ピッチの風見鶏」について。
■世間はさらに無関心な「旗」
2021年9月のこの連載で「コーナーフラッグポスト」について書いた。ピッチの4隅に旗をつけた竿を立てるのは、1863年にサッカーという競技が誕生したときからある規則で、さまざまなラインはもちろん、ゴールの「バー」などよりも歴史が古い。それなのに得点が生まれるたびに跳び蹴りをされたり、ボクシングのサンドバッグ代わりにされたり、ひどいときには引き抜かれてギター代わりにされたりと、「虐待」の限りをつくされている。
そしてその「ポスト」の先端についている「旗」にいたっては、世間はさらに無関心だ。私はピッチ上の風の状況を見たいと思ったときにはこの旗に注目するが、無風状態ならだらんと垂れ下がってポストにからみついているだけで、たしかに大きな関心を引く存在ではないのである。