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■勝利につながる細部へのこだわり
【J2リーグ第13節 5月3日 13時03分キックオフ 仙台 3ー1 山口 キューアンドエースタジアムみやぎ】
戦国J2で、ベガルタ仙台が存在感を高めている。
J2リーグ第13節が5月3日に一斉開催され、前節まで3位のベガルタ仙台は同19位のレノファ山口FCをホームに迎えた。
森山佳郎監督が就任2年目を迎えた仙台は、前半39分までに2対1とリードする。複数得点は2試合連続5度目で、攻撃のギアが上がってきた印象だが、チーム戦略と土台となるディフェンスもぬかりはない。
前半終了間際だった。山口の左SB小澤亮太が自陣からドリブルで持ち出す。すぐに仙台のMF郷家友太が反応し、猛烈なスピードでチェイスする。郷家の存在が明らかなプレッシャーとなり、小澤はドリブルが大きくなる。ボールはタッチラインを割り、仙台のスローインとなった。
得点にも失点にも関係のないプレーである。ほとんどの人は記憶にもとめないプレーかもしれないが、仙台にとっては大きな意味を持つ。
ボールを失ったら守備をする、それもできるだけ早く切り替える、といった原理原則を大切にするチームは、取りこぼしが少ない。リーグ戦のゴールがはるか先のこの時期から細部にこだわっていれば、ここぞという場面で小さな、しかし決定的なミスを冒すリスクを抑えることができる。
キャプテンの腕章を巻く郷家は、森山監督のもとでディフェンスでの貢献度を高めている。昨シーズンから得点やアシストを記録できない試合でも、守備でのハードワークを評価されてきた。背番号11の献身性が、チームを引き締めている。