【2025年J2「第12節」北海道コンサドーレ札幌VSV・ファーレン長崎「徹底分析」】札幌、90+3分の劇的同点ゴールも…“痛み分け” J1昇格候補2チームが早くも迎えた正念場【戸塚啓のJ2のミカタ】(2)の画像
対長崎戦、土壇場で追いついた札幌の岩政大樹監督  撮影/中地拓也
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■札幌は交代選手が得点に絡み

【J2リーグ第12節 4月29日 14時03分キックオフ 札幌 2ー2 長崎 大和ハウス プレミストドーム】

 4月29日に開催されたJ2リーグ第12節は、首位のジェフユナイテッド千葉、2位のRB大宮アルディージャ、3位のFC今治が揃って勝利を逃した。その結果、J1自動昇格圏の2位のRB大宮から9位のジュビロ磐田までの8チームが、勝点6差で争う展開となっている。

 J1昇格プレーオフ圏の6位・大分トリニータから、J3降格圏の18位のブラウブリッツ秋田までの13チームも、勝点6差内で競り合っている。

 こうした混戦をもたらしたのが、J1昇格候補のつまずきだ。J1から降格してきたジュビロ磐田は5勝2分5敗の9位、昨シーズン4位のモンテディオ山形は3勝4分5敗で13位と、勝点を伸ばせずにいる。

 降格組の北海道コンサドーレ札幌、昨シーズン3位のV・ファーレン長崎も、混戦に巻き込まれている。札幌は4勝7敗で16位、長崎は4勝3分4敗で10位である。

 両チームは4月29日開催の12節で激突した。

 札幌のホームで行なわれた一戦は、長崎が51分までに2対0とリードする。複数得点が3試合しかない札幌にとっては、難しい試合展開である。

 ハーフタイムにFWアマドゥ・バカヨコを起用していた岩政大樹監督は、0対2となった直後の55分にDF中村桐耶を起用する。左SBだった高嶺朋樹を本来のボランチへ戻し、高精度の左足を持つ中村を入れて攻撃力アップを狙った。

 61分にも2枚替えを行ない、前線にバカヨコとキム・ゴンヒを並べる。190センチと186センチのハイタワーが、長崎の守備陣にストレスを与えていく。

 76分、途中出場の青木亮太が右サイドで相手のマークを剥がし、ゴール前へクロスを供給する。このプレーから追撃の1点目が生まれた。

 青木は途中交代で2列目の左サイドに入ったが、この場面では右サイドへ流れてそのままプレーした。それまでアタッキングサードで前を向く機会がほとんどなかったが、鋭い切り返しで対峙した高畑奎汰をかわしている。

 高畑からすれば、途中出場でこの試合初めて相対する青木の特徴をつかみきれず、1対1で主導権を握られたと言えるだろう。それ以前にマッチアップをしていれば、違った対応ができたのかもしれない。

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