■どちらも正念場を迎えている

 1点差に迫った札幌は、90+3分に同点に追いつく。右CKの流れでゴール前に人数を集め、競り合ったボールが長崎の最終ラインの背後へ出てくる幸運にもめぐまれた。5枚目の交代カードとして起用されたMF原康介の同点弾は、指揮官の選手起用が的中したとも言える。

 自分たちは勝点「0」を「1」に変え、長崎には勝点「3」を与えなかった。2試合ぶり4度目の複数得点を記録した。この試合の結果と内容にはポジティブな要素が多いものの、首位の千葉とは勝点18差、2位のRB大宮とも勝点10差である。ホームゲームだったことを考えても、「痛み分け」という表現が当てはまる。

 追いつかれた長崎にとっても、痛恨のドローだ。

 下平隆宏監督は87分の選手交代で、CB新井一耀を送り込んだ。4バックから3バック+両ウイングバックへ変更した。逃げ切りをはかったなかでの被弾は、「勝点1を取った」ではなく「勝点3を失った」との印象を強める。

 昨シーズンの長崎は、24節から30節まで7戦勝利から遠ざかり、勝点1差でJ1自動昇格を逃す一因となった。6戦勝利なしは危険な兆候である。

 中3日で迎える次節で、札幌は13位のモンテディオ山形と対戦する。ここまで2勝5敗と分の悪いアウェイゲームだが、勝点で並ぶ相手を確実に叩かなければならない。

 長崎は最下位の愛媛FCと対戦する。こちらはホームゲームだ。勝点3はマストである。

 J1昇格候補にあげられる2チームは、果たして混戦から抜け出せるのか。このまま中位から下位が定位置となってしまうのか。どちらも正念場を迎えていると言っていい。

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