■RB大宮が前半からスタイルを発揮

 RB大宮と札幌の対戦は、対照的なスタイルのぶつかり合い、と言うことができた。

 札幌はパス総数、平均ボール支配率でリーグ上位に食い込む。RB大宮はそのどちらもリーグの10位以下だが、チャンスクリエイト総数、シュート総数では2位だ。6位の札幌を上回る。総得点はリーグ3位タイだ。サッカーの本質であるシュートを打つ、決め切る、ということが強く意識されている。

 RB大宮は開始4分、CB市原吏音が右ウイングバックの安光へロングフィードを通す。まず縦を、まず前を意識するのはチームのベースとなるもので、相手に背後を意識させることで2シャドーの選手がスペースを見つけやすくなる、ということも念頭に置いたものだ。

 この試合最初の決定機となった32分も、3本のパスでフィニッシュへつなげている。センターサークル付近でパスカットしたCBガブリエウが、中盤のカプリーニへつなぐ。カプリーニが左シャドーのFW杉本健勇へパスを通すと、杉本がワンタッチで落としてMF小島幹敏が受ける。小島は利き足の左足を振り抜いた。右ポストをかすめるような一撃を浴びせた。

 39分にも2本のパスで相手ゴールへ迫った。前線から規制をかけて相手GKに蹴らせ、MF谷内田がセンターサークル手前で相手FWがコントロールミスしたボールをカットする。相手FWの背後に詰めていたガブリエウがボールを引き取って縦パスを差し込むと、小島がパスを受けてFW藤井一志へつなぐ。藤井はペナルティエリア内でシュートへ持ち込むが、相手CBにブロックされた。

 RB大宮の公開練習では、攻撃のスタートから7秒以内でフィニッシュへ持ち込む、という練習が繰り返されている。日常からの意識づけが、相手ゴールへ速く鋭く迫ることにつながっているのだ。

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