■半数の「10クラブ」が3バック

 2つ目の仮説は、3バックの増加である。数年前までのJリーグでは4バックが完全に主流で、3バックを採用しているのは少数派だったミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代(2006~2011)の形を成熟させてきたサンフレッチェ広島や、そのペトロヴィッチ監督が2018年から率いてきたコンサドーレ札幌など、一部のクラブに限られていた。

 過去数年で徐々に3バックのチームが増え始めたが、昨年、2024シーズンの開幕時には、3バックで戦うチームはまだ20クラブ中6クラブと「少数派」だった。しかし、今季は20クラブ中半数の10クラブが3バックを基本としている。その多くが、守備時には5バックとなり、サイドを空けず、クロスに対しても強い守備を敷いている。

 システム自体には「攻撃的」も「守備的」もなく、その並び方をベースにどんなプレーをするのかが重要なのだが、広島のように成熟した3-4-3システムで攻撃も強力なチームもある一方、どちらかといえば、「守備固め」の色が濃いのが現在の多くのチームの3バックではないか。それが1試合平均得点「2.17」という深刻な「得点力不足」の要因となっている可能性は十分ある。

 3つ目の仮説は、今季話題になっている「判定基準」である。「基準が変わったのではない。反則でないものを取らなくなっただけ」と日本サッカー協会の審判委員会は説明するが、試合を見ていると、取るべきものも取っていないように感じられるときがある。これは当然、守備側に有利で、攻撃にとって不利な状況といえる。

 2024シーズンの380試合での総反則数は1万345回。1試合平均27.22回。今季これまでの102試合で主審が反則の笛を吹いたのは2551回で、1試合平均25.01回。試合が格段に激しくなっていることを考えると、今年の「判定基準」がシュート数や得点数の減少の一因になっているとはいえないだろうか。

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