
「そこは生命線だと思っています」
川崎フロンターレにおいて育成とその循環が重要ではないか、という筆者の問いに力強くこう言い切ったのは竹内弘明強化本部長だ。ACLEファイナルズにチームが飛び立つ直前のことである。
「できればチームの主軸はアカデミーの選手が担い、これだけ海外に行く選手が多くなった中でも、ワンクラブマンが1人か2人いてくれたら、どれだけクラブとして嬉しいか。伊藤洋輝しかり、中村憲剛しかり、小林悠しかり、やっぱりそういう選手がクラブを作り上げてきてくれた。そういった選手がいたからここまで来れた」
こうも語って、チームで育ったチームの歴史を知る選手が長く活躍し続けることのありがたさを説くが、一方で、「それがスタンダードになっていってもらえればいいんですけど、なかなか難しい時代になってきた」とも実感している。
背景はそれぞれ異なるが、このクラブから谷口彰悟、山根視来、守田英正、板倉滉、三好康児、瀬古樹、三笘薫、旗手怜央、田中碧ら多くの選手が海外に羽ばたいた。Jリーグクラブで最も、時代の変化を受けたクラブと言っていいかもしれない。一方で、そんなクラブだからこそ、「いずれまた戻ってきてくれる選手もいるかもしれませんので、そういった海外での経験を還元してくれるような関係性が築けるといいなと思ってます。ほんと、そこが生命線だと思いますよ、ウチは」と語気を強める。
そして、「潤沢に資金があるクラブでもありませんし、鶴の一声で選手のお金がボンと増えるようなクラブではありませんので、地に足をつけてやるっていう意味では、そこが大事」と言葉を重ねるのだ。