【J1川崎を取材して感じた「育てる力と心」とは(5)】金明豪通訳が抱える選手に「託す想い」とは……試合前の重要なルーティンが注目されるも、「自分から叩くよ、なんて絶対に言えない」の画像
川崎フロンターレの金明豪通訳 撮影:中地拓也
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 試合の前は特別な時間だ。いつもの音楽を聴く選手もいれば、集中力を高めるべく独自のルーティンに没頭する選手もいる。そんな中で、サポーターの視線を集める一つが、選手の背中を叩く姿だろう。選手から頼まれて両手を振り下ろすのは、金明豪通訳である。

 GKチョン・ソンリョンの通訳を務めてきた金通訳は、今季、さらにイ・クンヒョンにも目を配るが、その日常は通訳だけにとどまらない。GK練習では石野智顕GKコーチらのサポートに入っており、さながらコーチといった様子を見せる。
 そして、中山通訳のように選手に近い立場で潤滑油にもなっている。選手をいじり、そして選手にいじられる姿が見られない日はない。
 先述した背中を叩くことについては試合ごとにSNS上でも話題になっている。その“歴史”について振り返ってもらうと、始まりはGK新井章大(現・ヴィッセル神戸)の移籍だったという。それまで小林悠が新井に試合前に背中を叩いてもらって気合を入れていたが、新井がいなくなったことで金通訳に頼んだことがきっかけだった。

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