
4月16日に行われたJ1リーグ第12節で、横浜F・マリノスはホーム・日産スタジアムで清水エスパルスを相手に2−3の逆転負けを喫した。その試合後のスタンドから沸き起こった“涙のチャント”に大きな反響が寄せられた。
Jリーグ発足時のオリジナル10である横浜FMは、リーグ優勝5回(95、03、04、19、22年)を誇り、過去に1度もJ2に降格したことがない文句なしの名門クラブだ。だが、スティーブ・ホーランド新監督のもとで新たな船出となった今季は、チーム戦術が固まらない中でACLを含めた過密日程を強いられ、J1リーグではこの日の敗戦で6戦未勝利(2分け4敗)となり、勝点8(1勝5分け5敗)で18位に沈んだままとなった。
その試合後、1年前にはアジア王者に王手をかけていたチームの目を覆いたくなる惨状に、通常ならば不甲斐ないチーム状況に怒号、ブーイングが起こるはずだが、スタンドからは選手たちを励ます歌声とチャントが鳴り止まず。老若男女、ある者は拳を突き上げ、ある者は両手を合わせて拝み、ある者は涙を流して苦しむチームを鼓舞し続けた。
この光景に、DAZNの試合中継で実況を務めた西岡明彦アナウンサーは「単なる1試合ではないような、そんな状況ですね」と言葉を紡ぐと、自身も現役時代にJ2降格を味わった解説の福田正博氏は「本当に難しい状況にある」としながら「まだ終わったわけじゃない」とエール。映像には『己を仲間を信じ抜け』の横断幕が映された。