■さまざまな気配りがなされたチャーター便
その機内の中では、選手ファーストが徹底されていた。前方15列ほどに設けられたビジネスクラスには両チームの選手が均等に割り振られていたが、当然、座席には限りがあるため乗れない選手もいる。その場合は1人でエコノミークラス3席を使って横になって寝られるような席割となっており、さらには、厚手の毛布も用意されるなど、快適に過ごせる工夫が施されていた。フライトを通して照度も抑えられたほか、席の配置も両チームにとってバランスの良いものになっていたようだ。
長谷部茂利監督が座ったのは、エコノミークラスの最後方部。選手にビジネスクラスを譲ったうえで試合の映像確認に没頭していたようで、ACLE奪取に向けて機内でもその姿は変わらなかったという。
この出発を前に竹内弘明強化本部長は「精神的にも肉体的にも相当ありがたい」と感謝を言葉にしていたが、実際にフライトを終えた選手の表情などを見ればその効果は抜群。23日に長谷部茂利監督にその効果について聞くと、「ありがたい話です」とまずは感謝したうえで、「皆さんの協力のもと、スムーズにサウジアラビアに入ることができました。機内で選手たちはリラックスしていたようで、私自身もゆっくりと時間を過ごしました」と言葉にしている。
ジェッダに到着したのは現地時間の早朝4時過ぎ。盛大な歓迎を受けたうえで、荷物の判別と車両への積み込みを終えたのが午前6時過ぎだった。決戦の舞台に選手、スタッフ、そして荷物が揃ったのだった。
(取材・文/中地拓也)
【その2「暑さと独特のピッチ」に続く】