
機体が速度を一気に上げて滑走路を走り始めたのは、スマートフォンの時計が20時35分から20時36分へとちょうど切り替わった瞬間のことだった。成田空港を飛び立ったこのチャーター便が向かう先はサウジアラビアのジェッダ。夢と期待を詰め込んで、ぐんぐんと高度を上げていった――。
悲願のACLE青覇に向けて川崎フロンターレがチャーター便に乗り込んだのは4月21日のこと。Jリーグ全クラブの協力があって、横浜F・マリノスと同乗してジェッダに飛ぶこととなった。当初はヴィッセル神戸も含めた3チームでの移動が予定されていたというが結果は2チームに。そのため、川崎と横浜FMの選手やスタッフは全員がこの便に乗ることができ、そのうえで大量の荷物も運びこむことができたという。
ただし、帰りはチャーター便ではなくそれぞれの便のため、復路の重量も考えた荷物選びになったというが、川崎フロンターレにおいては過去最多となる197個の荷物を運びこんだ。その中には、トレーニングのための道具だけでなく、現地では調達しにくい食材なども含まれる。内容を書いたガムテープがそれぞれの荷物に張られており、ジェッダ到着時にすぐに荷物を使えるように工夫がなされていた。