■前節から「修正してきた」背番号88

【37分の松尾佑介の追加点の場面】
 GKの西川からのロングフィードを、渡邊が右足で松尾佑介にダイレクトパスをする。そのまま松尾はゴールまでドリブルして冷静にシュートを決めた。
 この場面では、ものすごく興味深いやりとりがあった。37分52秒に西川がキックを蹴る場面を見てもらいたい。
 町田は最終ラインを3枚で守っている。浦和の前線は3トップに渡邊が並び、4枚になっている。西川は、25分の場面でキックをしたときに、町田のフォワード(以降、FW)が厳しくプレスに来ないことを知っていた。したがって、余裕を持って渡邊にロングフィードをすることができた。
 ここでは、町田の3人の守備陣に対して、目の前に浦和の4人の攻撃陣がいる状況。町田は数的な劣勢をどうやってケアするのか。
 一番やってはいけないことは、センターバック(以降、CB)の1人が渡邊をケアしようとポジションを離れることである。そうすると、松尾がフリーになってしまうのだ。ここでCBがやることは、どちらかのボランチを1人下げて、渡邊をケアすることである。しかし、町田がやってきたのは、ボールが渡った渡邊を、1人のCBがポジションを捨てて前進し、ケアしようとした。最悪の選択をしてしまった町田は、松尾のスピードについていけなかった。

 後半に入ってから、互いに何度かチャンスはあったものの、決定機まで至らなかった両チーム。浦和はエースの渡邊をトップ下で今後も起用するべきだし、松尾にはもっと出場機会を与えてほしい。
 前節の福岡戦では厳しい評価を下した長沼洋一(背番号88)だったが、この試合はきちんと修正してきて、最終ラインを意識したプレーに変わっていた。
 4月16日の水曜日に、京都サンガF.C戦を控えている浦和は、町田戦で浮上するキッカケをつかめたのではないか。
 連勝すれば順位はすぐに上がっていく。そのためにも守備時には、集中してプレーすることを期待する。

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