■同点に追いついた直後に数的不利となり…
1点を追いかける札幌は、23分に右CKから追いつく。風上を生かしたボールの軌道と選手の配置が相手GKを悩ませ、MF近藤友喜が混戦からプッシュしたのだった。
ところが、その直後にチームを窮地に追い込む事態が起こる。MF馬場晴也が敵陣でスライディングタックルを仕掛ける。相手選手の足を刈ってはいないものの、スパイクの裏を見せたスライディングが「著しく不正な行為」と判定され、一発退場となってしまうのである。
この場面でボールを奪い取ることができれば、ショートカウンターへつなげることができた。同点に追いついた勢いそのままに攻勢を強めたい、という気持ちもあったかもしれない。それにしても、「もったいない」との印象は避けられないプレーである。
10人となった札幌は、FWアマドゥ・バカヨコを下げてDFパク・ミンギュを投入した。パク・ミンギュが左SBに入り、MF高嶺朋樹が左SBから本来のボランチへポジションをあげる。バカヨコと2トップを組んでいたFW白井陽斗を頂点とする4-4-1にシステムを整えた。
機動力のある右MF近藤と白井のホットラインに、得点の可能性を求めることはできる。一方で、高さと強さを兼ね備えたバカヨコは一発を秘める。その身体能力と左足は、試合の流れとは関係なしに得点を生み出せる。
岩政監督が気にかけたのは、バカヨコがイエローカードを受けていたことだろう。序盤から水戸CB鷹啄トラビスと激しいバトルを繰り広げており、審判の判定に苛立ちを見せるシーンもあった。そのままプレーさせたら、2枚目の警告を受けてしまうリスクはあった。
水戸の森直樹監督からすれば、狙いどおりだったに違いない。鷹啄のリーグ戦でのスタメン出場は、この日が初めてである。バカヨコ対策として起用した187センチの大型CBが、指揮官の期待に応えてバカヨコを交代へ追い込んだと言える。
馬場の退場と、それに伴うバカヨコの交代は、札幌のゲームプランを狂わせたふたつ目のポイントにあげられる。