■「あと何時間で試合ですか?」
頭の切り替えのために、新たに取り組んでいることがある。それは、試合までの時間の“把握”。伊藤自身は次の試合に向けて徐々に試合モードに持って行くタイプだったという。それがドイツ時代は1週間ごとの間隔だったが、川崎ではそれがおよそ半分に。その結果、「ピークに行く途中で試合が来ちゃった感覚が自分の中であった」のだという。
そこで、樋口創太郎コンディショニングコーチに自ら「あと何時間で試合ですか?」と聞くことに。しゃべるたびに聞いて、「あと37時間か」「あと20時間か」などと、自らに言い聞かせているそうだ。
「樋口さんは多分面倒くさいと思っていると思います(笑)」と笑わせるほどに聞いているそうで、対面だけでなく、『LINE』でも時間のメッセージをもらうのだという。
「自分の中ではけっこう良くて」と手応え十分。中2日のACLEファイナルステージでも有効な策となりそうだ。
そうして試合で活躍するために自らを律する伊藤だが、チームに対しても勝利を求める。前節・清水エスパルスでは途中からの出場となったが、その直後に清水が一人退場して数的有利となった。
「数的優位を生かすにはちょっと時間が短かった」
こう振り返った一方で、「プレーしていた選手たちには言ったんですけど、ああいう時にファウルをしちゃうと、そこで時間も取られちゃうし、相手はそもそも1人少ないからラッキーみたいな感じになる。僕たちが何回かもったいないファウルをしちゃったので、試合後、“あれはもったいないからやめよう”っていう話はしました」と明かす。
自身を本当のプロ選手に導いた先輩の前でどのようなプレーを見せるか。そして、チームを勝利に導けるか。中3日で迎える神戸戦のピッチで、背番号17が輝く。
(取材・文/中地拓也)