■川崎で相次ぐ負傷者

 その下につけている川崎、ファジアーノ岡山、柏、広島、町田といったあたりはいずれも守備の硬さが強み。特に川崎は長谷部監督体制移行後、失点大幅減を目指して守りの再構築に取り組み、ある程度の成果が出ていると言っていい。
 ただ、ここへきて大島僚太橘田健人ジェジエウが立て続けに負傷。戦力的に厳しくなりつつある。そこに追い打ちをかけるのが超過密日程だ。J1は16日の神戸、20日の東京ヴェルディとの連戦を強いられ、直後からAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)制覇をかけてサウジアラビアに乗り込むことになる。その結果次第でチームの士気は大きく変化するだろう。優勝して帰ってこられればリーグ戦にも弾みがつくだろうが、果たしてどうなるのか。総合力で見れば、川崎はJ1タイトルを獲得するだけの実力があるチームだけに、ここからの動向が気になる。
 この上位3チームに加え、岡山の木山隆之監督、柏のリカルド・ロドリゲス監督といった顔ぶれを見ても分かる通り、指揮官の指導力と統率力が今季のチーム状況を左右しているのは確かだ。
 金監督はサガン鳥栖を率いていた2021年に絶対的な強さを誇った川崎と上位争いを演じたし、チョウ監督は湘南ベルマーレ時代の2018年にYBCルヴァンカップを制覇。長谷部監督も同じく2023年のルヴァンを取っている。木山監督もJ2中心だが監督経験が豊富で、ロドリゲス監督もJリーグを知り尽くしている。こういった実績に裏打ちされた監督たちが今季J1を盛り上げているのは興味深いところ。その中から誰が突き抜けるのかも見極めていく必要がありそうだ。
(取材・文/元川悦子)
【後編へ続く】

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