田中美南のプレスバック有効も「減った」相手ゴール前のプレー、前回1対4で敗れたコロンビアの思惑と籾木結花「PK失敗」直後の失点【新生なでしこジャパン「国内初戦ドロー」の意味】(2)の画像
田中美南のディフェンスは確かに効いてはいたものの、明らかにゴール前で張っている時間が減ってしまった。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 ニルス・ニールセン監督率いるサッカー日本女子代表「新生なでしこジャパン」が、国内初戦となるコロンビア代表との親善試合で引き分けた。ランキングで差のある格下相手のドローを、どうとらえるべきか? サッカージャーナリスト後藤健生が徹底検証する!

■攻撃の「ギアが上がらない」2つの理由

 ニルス・ニールセン監督は「アグレッシブさが足りなかった」と表現。中盤でのパス回しがうまくいかず、そのため、MFが前線に飛び出せなくなったのではないかという見解も示した。

 いずれにしても、田中美南のプレスバック(自陣に戻りながらのディフェンス)は確かに有効だったが、前線で張っている場面が減ってしまったし、結局、相手ゴール前に入っていくことができず、いくらボールを回せていても、それが相手にとって脅威になっていなかった。

 ペナルティーエリア内に選手がいないのでは、ゴールを脅かすことは難しい。

 これは、コロンビアにとって、予定通りの展開だった。

 コロンビアは、2月の「シービリーブスカップ」で日本に1対4で敗れていたため、十分に日本を分析し、FIRAランキング5位という“格上”の日本に対して守備的な勝負をしかけてきた(コロンビアは21位)。

 日本がボール・ポゼッションで上回るのは織り込みずみで、日本が簡単に自陣ゴール前までボールを運べないように、まずは中央(ゴール前)を固めてスペースを与えないようにする。そして、MF(インテリオール)のところでパスを回されても、両サイドを使われても、中央ではスペースを与えないことを意識して戦ったのだ。

 こうして、日本の攻撃はコロンビアの思惑通りに外でパスを回す展開になってしまったのである。日本の拙攻とコロンビアの日本対策……。この2つが重なったことで、日本の攻撃はなかなかギアが上がらなかった。

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