■「求められる」選手たちの状況判断

 先ほども述べたように、この日のピッチ・コンディションを考えれば、パスをつなぐことにはリスクが伴う。

 パスをつなぐのか、それとも思い切ったロングボールを蹴り込むのか……。重要なのは選手たちの判断の正確さだ。

 たとえば、40分の場面。鹿島は左サイドで数的優位を作り出していた(GKからのロングボールが通ったからだ)。それに、タッチライン沿いでのパス回しが失敗して、あのポジションでボールを奪われても、すぐに決定的ピンチにつながることはない。

 そういう場面では、思い切ってパスをつないで攻撃の形を作ることに積極的にトライする。

 鬼木監督の言葉によれば「蹴ったらまた相手に取られる」。せっかく奪ったボールをすぐに相手に渡すことがないように、パスをつなぐときにはつなぐというのだ。逆に、相手が激しくプレッシングに来たら、ロングボールを使って引っ繰り返す。大事なのは状況判断なのだという。

 僕は「安全な相手陣内とか、サイドのスペースではつなぐ」という意識なのかと思っていたが、鬼木監督によれば「エリアではない」という。いずれにしても、つなぐか、蹴るかは、選手たちの状況判断が求められるのだ。

 新監督就任から時間が経過していないこの時期で、しかも、悪いコンディションの中でも、パスをつなぐか、ロングボールを蹴り込むのかという判断が正確にできるようになっている鹿島アントラーズ。

 これから、さらにトレーニングでパスの回し方のパターンを増やし、ゲームを経験することによって判断力が上がれば、「ハイプレスでボールを奪った後の攻撃」という、どのチームも直面する課題を解決することができるはずだ。

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