■掲げていた「より高い位置でボールを奪う」のテーマ

 スコアレスで迎えた後半。ガンバはベンチに置いていた宇佐美貴史山下諒也を投入。攻撃のギアを上げようとしたが、後半20分に一瞬のスキを突かれて失点してしまう。
 柏の売り出し中の大型ボランチ・熊坂光希がドリブルで持ち上がり、出したタテパスが半田陸に当たって垣田裕暉が収める形になり、小泉が飛び込んで右足を振り抜く形になったのだ。フィニッシュの瞬間、小泉にはマークがついておらず、フリーの状態に。黒川圭介が遅れてマークに行ったが、間に合わなかった。
「こぼれたところに人がいないというのは今年のガンバにはよくあって、危険なエリアに人がいなくて最後のところで防ぎきれないって場面は多いです。ホントにうまく噛み合っていないし、明らかに守備がハマっていない。何とも言えない感じです」とこの一撃に沈んだ中谷もモヤモヤ感を口にしていたが、守備を改善し、堅守を取り戻さなければ、浮上への道筋は見えてこないだろう。
 そもそも今季のガンバは「より高い位置でボールを奪う」というテーマを掲げて、スタートしたはずだった。それは2024年J1で敵陣でのボール奪取率が下位だというデータに基づいたものだった。キャンプでもハイプレスに繰り返しトライし、ある程度の手ごたえをつかんで開幕を迎えた。が、そのシナリオがセレッソ戦の5失点敗戦で崩れ去り、今もなお模索が続いている印象が強いのだ。
「前で奪うというのは、セレッソ戦でコテンパンにやられた後に1回リセットされた。僕らのメンバーを見た時に、前からガンガン行くよりかは、ある程度、後ろで構えて行った方がいいということになり、そういう形でやっています」と中谷は軌道修正したことを明かす。が、GK一森純や最終ラインの顔ぶれは昨季と同じ。彼らの連携を再確認することも重要だが、やはり前との関係性をもっと詰めていくことが必要なのだろう。

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