■ジェジエウ負傷時の交代の考え方

 町田戦でベンチに入っていたDF登録の選手はファンウェルメスケルケン際と車屋紳太郎の2人。さらに、瀬川祐輔鬼木達監督の下で、山内日向汰は沖縄キャンプでの練習ではあるが、サイドバックとして試された経歴を持っている。
 そうした中で長谷部監督が選択したのは車屋をジェジエウに入れてそのままCBに入れるものだった。スクランブル出場後の前半の残り時間は車屋がそのまま右CBに入ったが、後半は丸山祐市が右に移って、車屋が左となった。
 現在、川崎で最も手薄なポジションが右CBである。ここまでは高井幸大が務めることが多く、それ以外でいうとジェジエウがここを本職としている。そのジェジエウの離脱期間が長かったため、沖縄キャンプではセサル・アイダルを入れることが多かったが、本来のポジションは左CBで、左SBでも出場してきた。車屋紳太郎や神橋良汰も同様だ。一方で、昨年は何度か右CBに入っていた佐々木旭は練習では一貫して右サイドバックに入ってきた。
 車屋も丸山も右CBとしては慣れない部分もあるため、佐々木旭を右CBに移して、ファンウェルメスケルケン際を右SBに入れる可能性もあると考えていた。そこで試合後に指揮官に聞くと、“左利きが並ぶことになる”というやや説明不足の質問になってしまったため、「左利きが並ぶということについては、右利きが並ぶこともありますね。そんなにうまくいったとは思いませんが、あそこで左利きが入るのはまったく問題ないと思います」としたうえで、「おっしゃるように際(ファンウェルメスケルケン際)が右に入って、旭(佐々木旭)が真ん中に入る選択肢ももちろんありますし、それも分かっている中で今日は紳太郎(車屋紳太郎)が入って4バックをもう一回形成するという考えでした」と答えている。
 この質問の際に長谷部監督にも断りを入れたが、今回の采配の良し悪しについて聞きたかったわけではない。今後の連戦や不測の事態を踏まえて、どのように考えたかを知りたかったからだ。
 今回の2連続のアクシデントを、次につなげなければいけないのだ。
(取材・文/中地拓也)

(2)へ続く
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