■布石になった2人の積極的な持ち上がり

 その布石になったのが、二人の選手の積極的な持ち上がりだった。浦和の攻撃自体は清水の松崎快が右から左足で上げたボールを逆サイドで石原が拾ったところからスタートしている。そこから前でボールを受けたマテウス・サヴィオが、自陣中央からグイグイとドリブルで持ち上がる。
 清水はボランチのマテウス・ブエノと守備に戻った松崎が挟んで、そのドリブル進出を止めるが、中盤でボールを回収した渡邊が、石原、松尾と右サイドで繋ぐ間に、清水は守備をリトリートした。
 そこから松尾のバックパスを受けた右センターバックのダニーロ・ボザが、今度は脇のスペースを持ち上がる。そこから中央に流れていた松本に出したパスは清水のマテウス・ブエノにカットされてしまったが、松尾が咄嗟の守備で清水ボールにさせず、こぼれ球をボランチの安居海渡が拾う形で、浦和の清水陣内でのポゼッションを可能にした。
 そこから浦和はまるで沖縄キャンプのトレーニングで見たような、理想的な崩しの連動を繰り出していくが、その状況を呼び込んだのが、マテウス・サヴィオとダニーロ・ボザの連続的な持ち上がりだった。
(取材・文/河治良幸)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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