
J1第7節の柏レイソルと東京ヴェルディの対戦で、スコアレスドローという名の影に隠されていた好プレーが公開された。スコアを見るだけでは分からない勝負の分かれ目を目にしたファンは、一様に攻守双方の選手に称賛の声を送っている。
サッカーはゴールを奪い合う競技である。だからこそ、得点の瞬間には選手や応援する人々の歓喜が爆発する。
だが、ゴールが生まれなければ、つまらない試合だったというわけではない。例えば、ジェフユナイテッド千葉とガンバ大阪による2005年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)決勝は、0-0の末にPK戦にまでもつれ込んだが、非常に見応えのある名勝負だったとして語り継がれている。
3月28、29日に行われたJ1第7節の全10試合のうち、引き分けは4試合あった。そのうちのたった1試合、両チームともにゴールが生まれなかったのが柏と東京Vの対戦だったが、決して見どころのない試合などではなかったようだ。
シュート数は、ホームの柏が6本なのに対して、乗り込んできた東京Vは9本。そのいずれも決まることはなかったが、単なる「ゼロ」なシュートばかりだったわけではない。
東京VがSNSで公開したシュート、そしてセーブが、その事実を雄弁に物語っている。開始10分、柏が前方へ送ったパスをカットしたのは東京VのCB谷口栄斗だった。昨季にはハットトリックしたこともあるが、その3得点はすべてセットプレーから。だが、この日の谷口は、相手陣半ばでボールをカットすると、まるでストライカーのようなシュートを見せた。足の振り幅は小さいが、強烈なインパクトを乗せると、ボールは無回転で柏ゴールに向かい、惜しくもポストを叩いた。
だが、この場面は単なる「惜しいシュート」ではなかった。シュートを受ける格好になった柏GK小島亨介は運に助けられたわけではない。小島はしっかりと反応して指先で触れ、弾道を変えた結果としてポストに「当てさせた」のだった。