後藤健生の「蹴球放浪記」第258回「エスカレーターの片側乗りをロンドンで初体験」の巻(1)埼スタでは禁止も…ハイバリーへ向かう途中で「目撃した」暗黙のエチケットの画像
アーセナル対マンチェスター・シティのチケット。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、サッカーを通じて文化の見分を広めている。今では一般的になっているが、かつて日本に存在しなかった社会のルールを、イングランドのスタジアム最寄り駅で「発見」した!

■1列から「2列」へ

 埼玉スタジアムに行くとき、僕は東川口駅でJR武蔵野線から埼玉高速鉄道「スタジアム線」に乗り換えます(「スタジアム線」を名乗るのなら、「スタジアム駅」を設置してほしいものです)。

 すると、エスカレーターの前に警備員が立っていて「エスカレーターには2列で立って乗るように」と注意をしています。

 日本ではエスカレーターでは左側に立って右側を空けておき、急ぐ人は右側を歩いて上ったり下りたりするという習慣が浸透しています(大阪など関西圏では左側を空けることになっていますが……)。

 しかし、埼玉県では2021年10月に「エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」が施行され、片側を空けることが禁止されたのです(ただし、罰則はありません)。エレベーターで歩くことが転倒や接触事故の原因になるからであり、また、両側に2列で立って利用したほうが運送効率が良いというのが理由です。

 スタジアムに行くときは、駅は比較的すいているので警備員が注意しても右側が空いていることが多いので、僕はありがたく右側を歩かせていただいています。しかし、試合終了後はかなり混雑していて、埼玉県民のみなさんは条例を守って2列で立っていらっしゃることが多いようです。

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