■それぞれの捉え方
山田はそのスローインについて、「急いでもらって、思ったよりアキさんが近かったんで」と振り返ったうえで、「不格好ではあるけど、(ラインを越さないなどの)要点は抑えていた」と語る。
追加点を求めての必死の中でのプレーだ。急いだことで勢いに乗ったこと、そして、距離感が想定と違っていたことで通常のスローインとは違った形になったが、「何十メートルも押し込んでいた」(山田)と、なんとか追加点につなげたいと思えばこそのプレーだった。
それについて他の選手に見解を聞いてみた。そしてそれが、改めてチームの強みを照らすこととなった。
順番的にまず聞いたのは大島僚太。同じくピッチの上でプレーしていた選手である。大島は、少し考えたうえで、「特には何もないですね、はい」としながらも、「取るよねって感じで審判に苦笑いしました」と声色を変えずに振り返る。そして、「でも、体がだいぶねじれていたからねと思いながらも、そうですね。ルールなんで、審判が決めることなので、そこは特に、はい」と冷静に受け止めている。
体がねじれ具合や判断するのは審判であることなどを鑑みて、ファウルスローだろうと見ていた。
続いて話を聞いたのは大関友翔で、試合を上から見ていた選手だ。山田とは同じく寮生活で、なんでも言える関係性でもある。だからこそ、「すごくおもしろかったですね。試合後のロッカーでもいじりましたし、寮でもいじりましたし、朝起きてもいじりました。本人はなぜかファールスローじゃないと言っているんですよ」と冗談めかして笑わせた。川崎フロンターレの下部組織から育ってきて、近い関係性だからこそ笑いに変えようとしたのだ。